衆参憲法審、立民主導へ=苦肉の譲歩、自民に焦り



1日に召集された臨時国会で、参院の憲法審査会長ポストが自民党から立憲民主党に移った。先の参院選で議席を大きく減らした自民にとり、他の要職を引き続き確保するための「苦肉の策」だ。しかし、衆院に続いて審査会運営の主導権を失ったことで、党勢回復のカギとみる保守層の一層の離反を懸念する声も上がる。

参院の憲法審会長に就いたのは、野田佳彦代表の側近で前副議長の長浜博行氏。憲法改正には中立的な立場とみられており、1日の就任あいさつで「公正かつ円満な運営に努める」と表明した。ただ、会長は議題設定などに影響力を有しており、これまで自民が押さえてきた。

参院選で惨敗した自民は常任委員長ポストなどの割り当てが減った。野党第1党の立民は議院運営委員長と予算委員長を野党に渡すよう要求。いずれも国会運営の要となるため、自民は拒否した。

引き換えに政治倫理審査会長を譲る案も自民内に出たが、2023年から続く派閥裏金事件がなおくすぶる中、「こんな時期に渡せない」と判断。改憲論議は既に足踏み状態に入り、「実害」は少ないとの計算もあり、最終的に憲法審会長を差し出すことで決着した。

「選挙結果を受け、やむなしだ。実を取った」。自民の石井準一参院国対委員長は記者団にこう説明した。

衆院では自民、公明両党が昨秋の総選挙で過半数を割り、立民の枝野幸男元代表が憲法審会長に就任。臨時国会開催要求があった場合の召集期限や衆院解散の制約にスポットが当たる一方、自民が重視する自衛隊の明記などは薄れがちだ。自民が目指す改憲に慎重な意見が強い立民が、国会の討議をリードする形はしばらく続く見通しとなっている。

このところの参政党や国民民主党の躍進の陰には保守層の後押しがあると指摘されており、自民には危機感が広がる。「党是」と位置付けてきた改憲で国会の重要ポストを手放したことには反発もあり、ある保守系の中堅は「支持者に怒られる。ますます離れる」と焦りの表情を浮かべた。

【時事通信社】 〔写真説明〕各党の意見表明が行われた参院憲法審査会=6月18日、国会内 〔写真説明〕長浜博行

参院憲法審査会長

2025年08月03日 07時17分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース