【ワシントン時事】トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との対面会談が15日、米アラスカ州で開かれる。トランプ氏はウクライナでの停戦を迫る構えだが、停戦条件を巡るロシアとウクライナの主張の隔たりは大きく、協議は難航が予想される。老練なプーチン氏を相手に、目立った成果がないまま会談が終わる恐れもある。
「待望の会談だ」。トップ交渉を好むトランプ氏は8日に自身のSNSで、米ロ首脳の対面会談をこう表現して発表した。これに先立ちホワイトハウスで行われた記者団とのやりとりでは、会談が既に決定していたのか興奮冷めやらない様子で「今日中に開催地を発表する」と表明していた。
「ピースメーカー(平和の構築者)」を自任し、紛争の調停者としてノーベル平和賞受賞の野心を隠さないトランプ氏にとって、自らの仲介でウクライナ停戦が実現すれば大きな成果だ。ただ、プーチン氏ははやるトランプ氏の足元を見透かすかのように対話を進めている。
会談の焦点は、ウクライナ停戦への道筋を付けることができるかどうかだ。だが、越境攻撃を受けたロシア西部クルスク州の奪還を宣言し、ウクライナ東部でも戦況を有利に進めるプーチン氏が停戦に合意する気配はない。
プーチン氏は停戦条件として、事実上の領土割譲などウクライナが受け入れ難い内容を突き付けてきた。トランプ氏も6日、ロシア側の条件について「突破口とは言えない」と述べ、首脳会談が厳しい交渉になることは認めている。プーチン氏は会談で、トランプ氏に自国に有利な条件をのませ、ウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかける狙いがありそうだ。
また、ロシア側は米国開催を受け入れる一方で、ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は「次回の会談」をロシアで開催することを提案したと説明。対話姿勢を続けることで米国による制裁を回避し、時間稼ぎを図る考えもあるとみられる。停戦交渉はプーチン氏が主導権を握っているのが実情だ。
【時事通信社】
2025年08月11日 17時57分
international