「ロシアにだまされるな」=取引巡り、2州撤退の誤解も―ウクライナ大統領



ウクライナのゼレンスキー大統領が、15日の米ロ首脳会談を前に「ロシアにだまされるな」と訴えている。トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領に侵攻をやめさせるため、ウクライナとの間で支配地域を交換する「取引」を示唆。ゼレンスキー氏は、頭越しに領土割譲が既成事実化してしまうことを恐れている。

「プーチン氏の戦術は見え透いている。制裁を恐れ、全力で逃れようとしている」。ゼレンスキー氏は9日のビデオ演説で、8日までに停戦に合意しなければ対ロ制裁を強化するという米国の「最後通告」を煙に巻き、米ロ首脳会談に動いたプーチン氏に不信感を示した。

ゼレンスキー氏は「殺りくの一時停止と引き換えに占領の合法化を試みている」とプーチン氏を非難。具体的には「(南部)ヘルソン、ザポリージャ2州の南側地域と(東部)ルハンスク、ドネツク2州の全域、クリミア半島の占領承認を欲しがっている」と述べた。

6日に訪ロしたウィトコフ米中東担当特使に対し、プーチン氏はドネツク州からのウクライナ軍撤退を提案したと伝えられる。欧米では支配地域の「交換」という言葉が独り歩きし、ヘルソン、ザポリージャ2州からのロシア軍撤退につながるという観測が広がった。しかし、米紙ワシントン・ポストによると、ロシアは2州で現在の前線での停戦に応じるだけで、本土とクリミア半島を地続きにするアゾフ海沿岸地域は支配したい考えという。

ゼレンスキー氏は「2度あることは3度ある」と主張。2014年のクリミア半島、22年の東・南部4州と併合宣言を続けたプーチン氏の「領土的野心」はウクライナ側の譲歩で止められないと警鐘を鳴らした。10日の演説では、ロシアは停戦に応じておらず「米国を欺こうとしてもわれわれは許さない」と強調した。

【時事通信社】 〔写真説明〕ウクライナのゼレンスキー大統領=4日、北東部ハルキウ州(ウクライナ大統領府提供)(AFP時事)

2025年08月13日 12時30分


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