【ロンドン時事】ノルウェーのノーベル賞委員会は10日、2025年のノーベル平和賞をベネズエラの民主化運動を率いる反体制派指導者マリア・マチャド氏(58)に授与すると発表した。授賞理由として「ベネズエラ国民の民主的権利を促進するたゆまぬ活動と、独裁体制から民主主義への公正かつ平和的な移行を実現する闘い」に尽力してきたことを挙げた。
マチャド氏は24年のベネズエラ大統領選の野党統一候補に選ばれたが、マドゥロ政権の圧力によって出馬を事実上禁止された。野党や人権団体に対する弾圧が続く中、国内に残って活動を続けている。
委員会は、マチャド氏について「かつて深く分裂していた野党勢力に結束をもたらす重要な役割」を担っており、野党は自由な選挙に向けて「共通の基盤を見いだした」と指摘。「これが民主主義の核心だ。民主主義が脅威にさらされる今こそ、意見の相違があっても民衆による統治の原則を守るという共通の意志がこれまで以上に重要になっている」と強調した。
委員会は「ベネズエラは比較的民主的で繁栄した国から、残忍で権威主義的な国家へと変貌した」と非難。困難な状況にもかかわらずマチャド氏は「国民の自由のため長年活動してきた」と称賛した。「野党勢力を結集させ、ベネズエラの軍国主義化に抵抗する姿勢を決して変えることなく、民主主義への平和的移行を支持する信念を貫いた」と述べ、アルフレッド・ノーベルの遺言に記された平和賞選考の基準を満たしていると評価した。
マチャド氏は授賞を伝えられた際、「(ベネズエラの)人々が認められたものだ」としつつ、政権移行という目標の達成に向けて「必ずや勝利する」と誓った。
【時事通信社】
〔写真説明〕ベネズエラの野党指導者マリア・マチャド氏=2025年1月、カラカス(AFP時事)
2025年10月13日 12時46分