「新たな日の始まり」=人質帰還に歓喜―戦闘再開「ハマス次第」・イスラエル



【テルアビブ時事】イスラエルの商都テルアビブの「人質広場」では13日、早朝から大勢の人々が集まり、イスラム組織ハマスによってパレスチナ自治区ガザに拉致された人質の解放のニュースを見守った。「新たな日が始まる」と書かれたプラカードを持つ人もおり、2023年10月のハマスによるイスラエル奇襲以来、2年間にわたって拘束されていた人質の帰還に歓喜した。

人々は会場の巨大スクリーンに映し出されるニュース映像を食い入るように見入っていた。今回の停戦と人質解放はトランプ米大統領が主導する和平案に基づき合意に至った。戦闘から停戦までのドキュメンタリー映像でトランプ氏が紹介されると、人々は大歓声を上げた。

「人質の引き渡しが始まった」と報道されると、無数のイスラエル国旗が振られ、人々は抱き合った。喜びで涙を流す人の姿もみられた。

テルアビブ在住の会社員エラさん(54)は「最も重要なのは人質全員が帰ってくることだ」と強調。ガザの今後に関しては、ハマスではない統治機構と協議しなければならないと訴えた。

広場は人質解放に沸き、戦闘終結を強く望む空気が広がっていた。エラさんは「多くのイスラエル国民が、人質帰還によって戦闘を終わらせるべきだと考えている」と語った。しかし、連立政権の一翼を担う対パレスチナで強硬な極右政党は、今回の停戦合意に反対している。政権維持に極右政党の協力が必要なネタニヤフ首相が今後、ハマスの「停戦違反」などを主張して戦闘を再開する可能性は否定できない。

「この瞬間のために、戦ってきた」。2日前にガザから撤収してきたイスラエル軍兵士のアディ・カルニさん(22)は、会場の後方で喜び合う人々の様子を見詰めていた。ガザではハマスの地下トンネルに侵入する任務に就いていた。戦闘の第1目標は人質解放で、次にハマスの壊滅だと主張。戦闘終結は望んでいるが、友人や家族を守るためなら「死ぬ覚悟はできている」と述べ、戦闘再開が必要かどうかは「今後のハマス次第だ」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕13日、イスラエルの商都テルアビブで、人質解放の知らせに歓喜する人々(AFP時事) 〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザで解放され、イスラエル側に引き渡された人質の男性=13日、テルアビブ近郊(AFP時事) 〔写真説明〕13日、パレスチナ自治区ラマラ近郊で、刑務所から解放され笑顔を見せるパレスチナ人男性ら(AFP時事)

2025年10月13日 21時30分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース