【ワシントン時事】米政府機関の一部閉鎖が続く中、日米両政府内では、今月下旬で調整するトランプ大統領の日本を含むアジア歴訪の日程に影響が及ぶのではないかとの懸念が広がっている。過去には米政府閉鎖を理由に大統領が外遊を取りやめた事例もあるためだ。公明党の連立政権離脱で日本の政治が混沌(こんとん)としていることも重なり、両国の関係者は神経をとがらせている。
「韓国には行くつもりだ」。トランプ氏は10日、ホワイトハウスで記者団にこう強調した。今月にマレーシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席した後、27~29日の日程で訪日することを想定。新首相と会談を行い、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催される韓国に入る方向だ。
ただ、1995年にはクリントン大統領(当時)が政府閉鎖を理由に日本訪問を中止。2013年にはオバマ大統領(同)が同様の理由でAPEC首脳会議への出席を取りやめた。23年にはバイデン大統領(同)が政府の債務上限引き上げを巡り共和党との協議が難航したことを受け、主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)後に予定していたオセアニア歴訪を見送っており、米政府関係者は「政府閉鎖中に1週間もアジア訪問するなんて信じ難い」と話す。
さらに日本では公明が26年間に及ぶ自民党との協力解消を表明した。トランプ氏は自民の高市早苗総裁と会談する段取りを描いていたが、高市氏が首相に選出されるかどうかが不透明なのも懸念材料だ。
トランプ氏は中国がレアアース(希土類)の輸出規制の対象を大幅に拡大したことに反発し、APECに合わせて予定する習近平国家主席との首脳会談を中止する可能性も示唆した。日米外交筋は「このタイミングでアジア訪問する動機はなくなってきた」と指摘する。
米国務省関係者によると、トランプ氏は訪日の意向を持っており、ホワイトハウスでアジア歴訪に向けた議論が行われている。日本の政府関係者は「粛々と準備を進めるしかない」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=10日、ワシントン(EPA時事)
2025年10月13日 12時46分