
世界各国の男女平等度を示す世界経済フォーラム(WEF)の「ジェンダーギャップ指数」で16年連続1位を維持し、男女格差の解消が進む北欧の島国アイスランド。首都レイキャビク元市長で国会議員のヨン・グナール氏は23日、高市早苗氏が日本初の女性首相に就任したことを、政治分野の格差是正に向けた「大きな最初の一歩」と歓迎した。東京都内で時事通信のインタビューに応じた。
グナール氏は、高市氏の選択的夫婦別姓制度に対する慎重姿勢などを念頭に、「フェミニストではないのかもしれない」としつつも、「若い女性にとってロールモデル(手本となる人)になるだろう」と評価。「高市氏は女性の社会進出を後押しすべきだ。女性に機会が与えられない国に将来はない」と言い切った。
アイスランドでは1975年10月24日、全女性の9割が男女平等を求めて仕事や家事を休むストライキ「女性の休日」を決行。これを機に80年に初の女性大統領が誕生し、4期16年の任期を務めた。「これまでと同じく年長の男性が大統領になると思っていたら、突然女性が大統領になって驚いた」とグナール氏。しかし、女性が指導的役割を担う姿を見て育ち、「性別に対する考え方が変わった」と振り返った。
2025年版のジェンダーギャップ指数で日本は148カ国中118位。政治分野に限ると125位で、女性の政治参加は大きく遅れている。日本の国会議員に占める女性比率は衆参両院合わせて2割にとどまるが、アイスランドでは4割を超える。現職大統領と首相はいずれも女性だ。
グナール氏は、アイスランドも政治における完全な男女平等を実現できていないが、さまざまなタイプの女性政治家がロールモデルになっていると指摘。女性の政治参画をさらに促し、格差是正に取り組み続けていくと話した。
最近気になっているのは、現代にふさわしい「男性のロールモデル不足」だ。男女平等の実現には、男性特有の生きづらさにも焦点を当てる必要があると力説。性別に関係なく、誰もが能力を発揮できる社会が望ましいとし、日本の今後の変化に期待を寄せた。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答えるアイスランド国会議員のヨン・グナール氏=23日午後、東京都港区
2025年10月25日 07時10分