習氏、軍腐敗に不満か=高官大量処分、台湾作戦に影響も―中国



【北京時事】中国共産党は、23日に閉幕した党の重要会議「第20期中央委員会第4回総会(4中総会)」で、軍高官9人を正式に処分した。この規模の一斉処分は異例で、習近平国家主席は腐敗を一掃できない軍に不満を募らせているもようだ。習氏が悲願とする台湾統一に影響するとの見方も出ている。

4中総会では、軍の最高指導機関、中央軍事委員会の副主席だった何衛東氏、同委員だった苗華氏ら9人の党籍剥奪処分が承認された。規律違反が理由で、汚職に関与したとみられる。

中央軍事委の現体制は、習氏をトップに7人で発足した。何氏は2人いる副主席の一人で、制服組トップ級だった。苗氏は政治教育などを担当する政治工作部主任を務めた。2人とも習氏の信任が厚かったとされ、習氏の威信に傷が付いた形だ。

習指導部は4中総会で、何氏の後任に中央軍事委メンバーで軍規律検査委員会書記の張昇民氏を充てる人事を決定。規律強化を図る狙いとみられる。総会のコミュニケにも「主席責任制を貫徹する」と明記し、中央軍事委主席である習氏への忠誠を徹底する方針だ。

一方、今回は中央軍事委メンバーを補充する人事は公表されなかった。2023年に解任された李尚福前国防相を含め3人が欠員という異常事態が解消されたかは、不明なままだ。

党籍を剥奪された9人には、台湾統一作戦で要となる東部戦区の司令官、統合作戦部門の幹部、ロケット軍の司令官も含まれていた。その後任も明らかになっていない。

中国軍の動向に詳しい防衛省防衛研究所の杉浦康之主任研究官は「習氏は軍事パレードなどを通じて、大量処分による混乱がないことをアピールしようとしている。だが、演習を含む台湾統一作戦には短期的に影響が出ている可能性がある」と話している。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国の習近平国家主席=23日、北京(EPA時事)

2025年10月25日 07時12分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース