身の安全保証なら帰国も=バングラデシュ前首相書面インタビュー



【ニューデリー時事】バングラデシュのハシナ前首相(78)が時事通信の書面インタビューに応じた。ハシナ氏は昨年の反政府デモを受けインドに逃れて以来、公の場に姿を見せていない。だが、身の安全が保証され、来年2月に行われる総選挙の行方次第では帰国を検討する考えを示した。主なやりとりは次の通り。

―デモ参加者の殺害に関与した罪で11月に死刑判決を受けた。裁判と判決の受け止めは。

全ての容疑を断固否定する。私の政敵が牛耳るいかさまの裁判所が(ハシナ氏の率いた前与党)アワミ連盟(AL)の非合法化という露骨な目的のため裁判をでっち上げた。

―なぜインド行きを選んだのか。

インドは常にバングラデシュにとって最も重要な国だ。安全な場所を提供してくれたインドの人々に深く感謝している。

―バングラデシュの暫定政権はインド政府にあなたの身柄引き渡しを求めている。

引き渡し請求は外交・政治的圧力の手段に使われるべきではない。国民の承認を得ていない政権による明らかに違法な手続きだ。

―将来的に帰国する考えはあるか。

故郷に戻る以上のことは何も望まない。ただし、帰国できるのは民主的に選ばれた当局による明確な安全保証がある場合だけだ。ユヌス(暫定政権首席顧問)が自由で公正な選挙を行うかどうか次第だ。ALは来年の選挙から締め出されており、状況が変わらない限り、真に国民を代表する政権が発足する見込みはほぼない。

―デモで学生ら1000人超が死亡したとされる。

悲劇的な暴力で失われた一人一人の命を悼む。私が治安部隊に(殺害を)命じたという見方は根本的に間違っている。

―年6%前後の高成長にもかかわらず、なぜデモが起きたと考えるか。

在任中達成した経済発展を誇りに思う。ただ、経済的要因は(デモと)ほとんど関係なかった。直接的な原因は野党の活動家が分断とヒステリーをあおり、国民の怒りを最高潮に高めたことだ。

―在任中、多くの反体制派の拉致や拘束を含む「強制失踪」に関わったとの訴えがある。

違法な拘禁や失踪への関与を全面的に否定する。

―日本政府や日本国民に伝えたいことは。

バングラデシュの安定と発展への変わらぬ関心に感謝する。インフラや民主制度(の確立)などに対する日本の長年の支援は極めて重要だった。



◇シェイク・ハシナ氏略歴

シェイク・ハシナ氏

1947年、バングラデシュで「建国の父」と呼ばれるラーマン初代大統領の長女として誕生。75年のクーデターで父が殺害され、国外で亡命生活を送った。81年にアワミ連盟(AL)党首に選出され帰国。96~2001年に首相を務め、09年に返り咲いた。24年8月、反政府デモの激化で辞任し、隣国インドへ事実上亡命した。デモ参加者の殺害を命じたとして、25年11月に「人道に対する罪」で死刑判決を受けた。

【時事通信社】 〔写真説明〕バングラデシュのハシナ前首相=2024年1月、ダッカ(AFP時事)

2025年12月15日 07時01分


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