中国、ベトナムの日米接近に焦り=外相、チョン書記長らと会談



【北京、ハノイ時事】中国の王毅共産党政治局員兼外相が1日、ベトナムを訪問した。2日まで滞在し、2国間協力について協議する。中国の友好国ながら南シナ海の領有権を巡って同国と争うベトナムは、米中競争の主戦場の一つ。日米への接近を強めるベトナムに中国は焦りを強めており、習近平国家主席が年内に訪越するとの観測も出ている。

国営ベトナム通信によると、王氏は1日、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長、ボー・バン・トゥオン国家主席らと相次いで会談した。チョン氏は、両国の友好関係の重要性を強調。ベトナムとして、対中関係を最優先に位置付けていると語った。王氏は、今後あらゆる分野で協力が促進され、両国関係が深まるよう取り組む考えを示した。

中国側の念頭にあるのは、9月のバイデン米大統領の訪越だ。ベトナムはこの時、対米関係を最上位の「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすると表明。共同声明では、南シナ海で威圧的行動を強める中国をけん制した。

11月下旬には、トゥオン氏が訪日し岸田文雄首相と会談。米国と同様、日越関係を最高レベルに引き上げることで合意し、日本が防衛装備品の供与などを行う「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の枠組みでベトナムを支援していくことも確認した。

ベトナムの包括的戦略パートナーシップの相手は、日米と中国、ロシア、インド、韓国の計6カ国。中国は今後、ベトナムの最大貿易相手国として、経済面でのうまみをてこに外交攻勢を仕掛けるとみられる。

〔写真説明〕中国の王毅共産党政治局員兼外相=11月29日、米ニューヨーク(AFP時事)

2023年12月02日 00時23分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース