社団法人介し、「国保」逃れ=低額報酬で保険料抑制―個人事業主らに普及か



公的医療保険の保険料負担を軽減するため、本来は国民健康保険(国保)に加入するべき個人事業主らが、一般社団法人の理事に就任して社会保険(社保)に加入する事例が広がっている。報酬を低額に抑えることで、保険料の削減が可能となるためだ。こうした「国保逃れ」について、社会保障に詳しい専門家は「制度へのただ乗りだ」と批判している。

国保の保険料は全額自己負担、社保は事業者と労働者の折半となっており、どちらも所得や給与に応じて負担額が決まる。ただ、社保の場合は、給与や報酬額を低くすると、保険料を抑制することができる。

京都市に登記上の住所を置く一般社団法人はこの仕組みを使って、「コスト削減の提案」と題された資料を作成。アンケート回答などの業務に従事して、大阪府内で配送業を営む40代男性が年間で約70万円削減したといった事例を紹介し、「(保険料の)負担額を最低水準に落とすことが可能」などと勧誘していた。

一般社団法人は要件を満たせば法務局への登記のみで設立可能で、監督官庁もない。同様の広告はインターネット上でも複数確認できる。大阪市内で法律事務所を営む男性弁護士は昨年7月、異業種交流会で知り合った別の法人の関係者から「理事に就任して、保険料を削減しないか」と勧誘されたと明かす。

同市の社会保険労務士井上陽介さんは、社保では被扶養者の家族も保険給付の対象となる点を指摘し、「最低ランクの保険料のみを支払うだけで、公的医療保険制度へのフリーライド(ただ乗り)だ」と批判。「勤務実態が虚偽と判断された場合、(法人や代表者が)健保法の罰則の対象となる」と説明する。

社保の事務を担当する日本年金機構は、取材に対して「虚偽があれば適切に対応する」と回答。上野賢一郎厚生労働相は16日の記者会見で「実態をよく把握して、適正な運用がなされているかどうか、そういう観点からの検討は必要だと考えている」と述べた。

〔写真説明〕「コスト削減の提案」と題して、「国保逃れ」を勧誘する一般社団法人の資料

2026年01月25日 19時02分


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