【エルサレム時事】20カ国以上の首脳が参加し、エジプト東部シャルムエルシェイクで13日に行われたパレスチナ自治区ガザの和平実現に向けた首脳会議は、和平案を示したトランプ米大統領の実績を誇示する場となった。しかし、和平案の履行を今後進める上での具体的な道筋は示されず、不透明感が漂っている。
ガザで続いたイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は、トランプ氏が提示した和平案の「第1段階」に双方が同意し、沈静化した。第1段階の柱である「拘束者の交換」は13日に実行され、トランプ氏は会議で「ガザの戦争は終わった」と表明。和平案の「第2段階」が既に始まったと強調した。
しかし、実際のところ拘束者の交換は完了していない。ハマスはイスラエルから連れ去った人質のうち、生存者については全員解放した。しかし、遺体の引き渡しは一部に限られ、イスラエル側は「合意違反」(カッツ国防相)と反発。イスラエルはそもそも戦闘再開の可能性を排除しておらず、停戦を順守するか不透明だ。
一方、和平案の第2段階は、ハマスの武装解除や戦後の暫定統治、国際部隊の関与の下で行われるガザの治安維持など、合意形成が極めて困難な課題ばかりだ。
首脳会議では、停戦交渉を仲介した米国、エジプト、カタール、トルコの首脳が「合意を履行する」と宣言する文書に署名。日本を含む20カ国超が合意への支持を表明した。ただ、今後の履行プロセスに関しては「協議開始の重要性を強調」するにとどまった。
和平案の推進は、イスラエルのネタニヤフ政権に強い影響力を持つトランプ氏の「豪腕」に依存する部分が大きい。各国首脳がトランプ氏を称賛することで、本人の関与への意欲をつなぎ留めるという意味では、首脳会議に一定の意義があったとみられる。
【時事通信社】
〔写真説明〕13日、エジプト東部シャルムエルシェイクで、パレスチナ自治区ガザの和平実現に向けた首脳会議に参加するトランプ米大統領(左から4人目)ら各国首脳(AFP時事)
2025年10月15日 07時22分