トマホーク供与、発射装置に課題=米ウクライナ首脳、17日に会談



ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談する。米国製巡航ミサイル「トマホーク」の供与が議題。しかし、ウクライナはトマホークの発射装置を持たず、米紙ニューヨーク・タイムズなどは「大きな課題がある」と指摘している。

トマホークの射程は1600キロ以上とされ、モスクワやロシア内陸部の軍事施設を射程に収める。ゼレンスキー氏は侵攻終結に向けた「切り札」として、9月23日のニューヨークでの前回会談でトランプ氏に供与を要請。ロシアのプーチン政権は「極度の懸念を引き起こす」と反発している。

トマホークは米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約で地上発射型が禁止され、米海軍艦艇が運用してきた。だが、第1次トランプ政権がロシアによる違反を理由に2019年に条約破棄を通告。米軍は再びトマホークなどを搭載できる地上型ミサイル発射装置「タイフォン」の開発を始め、24年に配備を始めた。

ウクライナはトマホークを発射できる艦艇を保有しておらず、実戦使用にはタイフォンが必要となる。ただ、米軍はアジア太平洋地域へのタイフォン配備を優先しており、欧州への配備は26年以降になる予定。ウクライナに回す余裕があるかは不明だ。

トランプ政権が発射装置も含めてトマホークを供与すれば、ロシアにとって脅威となる。ロシアの独立系メディアは、トマホークがウクライナに展開されれば、プーチン政権が排除を目指してきた「危機」を自ら招き寄せたことになり、皮肉な事態だと論評している。

【時事通信社】 〔写真説明〕米軍岩国基地で公開されたトマホークなどを搭載できる地上型ミサイル発射装置「タイフォン」=9月15日、山口県岩国市(ロイター時事)

2025年10月17日 12時30分


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