ガザ復興費用10.6兆円=建物8割が被害、拠出分担も不透明



【イスタンブール時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦が発効したパレスチナ自治区ガザでは、荒廃からの復興の道筋が今後の課題の一つとなる。ロイター通信によれば、国連開発計画(UNDP)当局者は14日、ガザの復興費用が700億ドル(約10兆6000億円)に達するとの見通しを公表。ガザの和平を維持しつつ、膨大な資金と時間を要する再建には国際社会の負担と協力が不可欠だ。

世界銀行は2月、ガザの復興には532億ドル(約8兆円)が必要との試算を示した。当時続いていたイスラエルとハマスの停戦が崩壊し、今回の和平案合意まで激しい戦闘が長引いたことを受け、必要な資金額が大幅に増加したとみられる。

ガザでは既に大量のがれきの撤去が始まった。国連の推計では、ガザ全域で約8割、イスラエルが一時制圧を目指して攻勢を強めた北部の中心都市ガザ市では9割を超える建物が壊滅的な被害を受けたとされる。

ただ、撤去作業中も不発弾が多数発見され、重機も極端に不足しているもようで、想定通り進むのは難しいとの見方もある。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、ガザ当局は10日の停戦発効から14日までの時点で250人以上の遺体が新たに見つかり、1万人超が依然がれきの下敷きになっていると見積もっている。

トランプ米大統領は13日にエジプトで開かれたガザ和平に関する国際会議で「復興が始まる」と強調。会議に駆け付けた欧州やアラブ諸国などの首脳らを前に「裕福で力を持つ多くの国々がガザ復興を支援し、必要なだけの資金を出すと言ってくれた」と主張した。しかし、各国間で資金の拠出分担や使途など詳細が詰まっているとは言えないのが実情で、関係国の利害調整が難航する恐れもある。

【時事通信社】 〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザでがれきと化した建物=3月4日、北部ベイトラヒヤ(AFP時事)

2025年10月15日 20時32分


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