「対話による和平」か「力ずくの支配」か=ガザ将来像、割れる世論―イスラエル



【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザの和平案「第1段階」でイスラム組織ハマスと合意したイスラエル。ハマスが人質を解放し、喜びの声が広がった。しかし、ガザの将来像を巡っては、「対話によって恒久的な和平を実現するべきだ」と考える人がいる一方、「力ずくの支配」を強く求める意見もあり、世論は割れている。

生存する人質全員が解放された13日、人質解放を訴える集会が頻繁に開かれてきたテルアビブの「人質広場」は歓喜に沸いた。「もう戦争はやめだ」。広場にいた多くの人は、人質が帰還したことで、2023年10月から続いた作戦の目標は達成されたと考えている。和平案の第2段階で困難が予想されるハマスの武装解除については、米国やアラブ諸国と連携し、協議を通じて実現させるべきだと言う人が大半だった。

大学講師のシュロミ・ザッカーマンさん(58)は、イスラエルとガザで民間人が多数殺害され、双方が「犠牲者」となったからこそ、「対話を開始する良い機会だ」と語った。ザッカーマンさんの祖父は、ハマスによるバス爆破テロで亡くなった。自身も約30年前にハマスに銃撃され、今も体内に銃弾が残っている。銃撃で死を覚悟して以来、「みんなが苦しんでいる。戦争ではなく、平和こそ必要だ」という信念を持つようになった。

一方、パレスチナに対し強硬な極右政党支持者が多いヨルダン川西岸のユダヤ人入植地ベイトエルでは、人質解放を歓迎しつつも「良い合意ではない」との見方が多数を占める。教師のイリエズ・シャピロさん(28)は「(対話をしても)ハマスが次のテロの準備をするだけで、悪魔と取引することはできない」と話し、ガザに再入植する必要性を強調した。英語教師のデイビッドさん(29)は「ガザを征服するべきだ」と主張した。

【時事通信社】 〔写真説明〕イスラエルの商都テルアビブの「人質広場」で、イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザに拉致した人質が解放され歓喜する人々=13日 〔写真説明〕ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地ベイトエル=15日

2025年10月16日 20時54分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース