【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザの和平案「第1段階」で合意したイスラエルとイスラム組織ハマスは16日、互いに相手が「合意内容を違反している」と非難の応酬を繰り広げた。イスラエルはハマスが人質の返還を故意に遅らせていると主張。ハマスはイスラエルが現在も攻撃を続けていると訴えた。
10日に発効した合意では、ハマスはイスラエルから拉致した人質全員を引き渡すよう定められている。ハマスはこれまでに生存する人質20人全員を解放したが、遺体については28人のうち、9人の返還にとどまっている。
イスラエルのサール外相は16日、「ハマスは(さらに)相当数の遺体を容易に引き渡すことができる」と強調し、ハマスが「合意を破っている」と主張した。ネタニヤフ首相が側近と対応について協議する予定だという。
これに対し、ハマスは現状で返還可能な遺体は全て引き渡したと説明している。イスラエルの激しい攻撃でガザは荒廃しており、さらに遺体を収容するには特別な機器が必要だと訴えている。米国も「(遺体収容には)時間がかかる」(レビット大統領報道官)という認識だ。
一方、ハマス幹部は16日、ロイター通信に対し、10日の停戦入り以降、イスラエル軍の攻撃で少なくとも24人が死亡したと指摘。「占領者(イスラエル)は昼夜問わず、合意を損なう行動をしている」と批判した。イスラエルはガザで、軍の撤退ラインを越えて部隊に接近する人物などを「不審者」と見なし、攻撃を正当化している。
【時事通信社】
〔写真説明〕16日、パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市で、破壊された建物の間を歩く人々(ロイター時事)
〔写真説明〕16日、イスラエル中部クファルサバで、イスラム組織ハマスから返還された遺体を納めたひつぎを運ぶ兵士ら(EPA時事)
2025年10月17日 18時08分