ロシアのプーチン大統領は16日、トランプ米大統領と約2カ月ぶりに電話会談し、8月に続く対面会談を準備することで合意した。ウクライナのゼレンスキー大統領が17日にホワイトハウスでトランプ氏と会談する前に注目を奪い、取り沙汰される米国製巡航ミサイル「トマホーク」供与の可能性もつぶそうと先手を打った。
トップ外交を好むトランプ氏の関心を引き付け、欧州ほど対ロ強硬路線でない米国に追加制裁を踏みとどまらせた上で、軍事力でウクライナ侵攻の目標達成を目指すのがプーチン政権の基本方針とみられる。
仲介したパレスチナ自治区ガザでの停戦の「成功体験」で自信を深めるトランプ氏を、ロシアもウクライナも自国側に引き寄せたい。プーチン氏は16日の電話会談でガザ停戦への「祝意」を伝達し、ウクライナ危機でも「政治・外交で平和的解決を得る」のがロシアの立場だと言い張った。
ゼレンスキー氏がモスクワを射程に収めるトマホークを求める中、プーチン氏は電話会談でこの問題に言及。トマホークは「ロシアが優位に立つ前線の状況を変えられない」「ウクライナ和平や米ロ関係に重大なダメージを与える」と述べ、供与しないようけん制した。
他方、プーチン氏は今回の電話会談でも停戦受け入れを示唆しなかった。ロシア・ウクライナ直接協議が中断するなど和平の機運はしぼんでおり、ハンガリーで米ロ首脳会談が実現しても、事態打開につながるかは疑わしい。
【時事通信社】
〔写真説明〕(左から)ロシアのプーチン大統領、トランプ米大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)
2025年10月17日 20時31分