
ロシアのプーチン大統領は5日、最高意思決定機関の安全保障会議をモスクワで開いた。ベロウソフ国防相は北極海のノバヤゼムリャ島での「本格的な核実験」の準備を開始するよう提案。プーチン氏はトランプ米大統領が「核兵器実験」に言及したことを踏まえ、関係省庁に情報収集・分析を指示した。対抗措置としての核実験を示唆した格好だ。
トランプ氏は10月30日、SNSで「米国は他国より多くの核兵器を保有している。ロシアが2位、中国は大きく離れて3位だが、5年以内に追い付くだろう」と主張した上で「他国の核実験計画を受け、戦争省(国防総省)に対し、対等な核実験を開始するよう指示した」と明らかにした。米高官は、既存兵器の性能確認のための「臨界前核実験」と補足説明したが、プーチン政権はトランプ氏発言に乗じ、核による威嚇を強めたとみられる。
プーチン政権は2023年、米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していないことを問題視し、ロシアの批准を撤回した。ただ「核実験のモラトリアム(一時停止)は続ける」のが基本方針。今回、プーチン氏は「米国が核実験を行った場合、ロシアも対抗措置を講じなければならない」と述べた。
【時事通信社】
〔写真説明〕5日、モスクワで安全保障会議に臨むロシアのプーチン大統領(EPA時事)
2025年11月06日 07時38分