金永南氏が死去、97歳=3代にわたり「外交の顔」―北朝鮮



【ソウル時事】北朝鮮の故金日成主席以来、3代の指導者の下で「外交の顔」を務めた金永南前最高人民会議常任委員長が3日、多臓器不全のため死去した。97歳だった。2024年6月から大腸がんのため治療を受けていた。朝鮮中央通信が4日報じた。

1928年平壌生まれ。モスクワ大学に留学し、外交学を専攻。60年に対外文化連絡委副委員長、62年に外務次官に就任して頭角を現した。その後は一貫して外交畑を歩み続け、83年には副首相兼外相に昇格した。

最高人民会議(国会に相当)常任委員会の委員長を98年から2019年まで務め、北朝鮮指導部のナンバー2として憲法上の対外的な国家元首の役割を担った。18年の平昌五輪に際しては訪韓して当時の文在寅大統領と会談。安倍晋三首相(当時)とも接触した。

94年には核危機を打開するため訪朝したカーター元米大統領と会談。2000年の金大中元韓国大統領、07年の盧武鉉元大統領をはじめ、胡錦濤前中国国家主席ら海外要人が北朝鮮を訪問するたびに、金永南氏が出迎えた。08年には北京五輪開会式にも出席した。

金正恩朝鮮労働党総書記は4日、党や政府の幹部と共に弔問に訪れ、深い哀悼の意を示した。党中央委員会と内閣などは「国葬」を決定、出棺は5日に行われる。国葬委員会には金正恩氏のほか、朴泰成首相や崔竜海最高人民会議常任委員長ら高官が名を連ねた。

韓国の鄭東泳統一相は4日、声明で弔意を表明し、「平昌五輪の際に南北対話の扉を開くことに寄与した」と評価した。北朝鮮は韓国との対話を拒否して通信線を遮断しているため、報道機関向けに声明を発表するという形で哀悼の意を示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕金永南氏

北朝鮮の前最高人民会議常任委員長(AFP時事)

2025年11月04日 13時03分


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