米和平案巡り協議=ウクライナ・欧は修正要求―トランプ氏「感謝ゼロ」と不満も



【ブリュッセル時事】ロシアのウクライナ侵攻終結に向けた米国主導の新たな和平案を巡り、米国とウクライナ、欧州各国の高官らが23日、スイス・ジュネーブで協議を行った。トランプ米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に27日までの受諾を迫っているが、ウクライナや欧州側は内容が「ロシア寄り」だとして修正を求めている。

ロイター通信などによると、協議には米側からルビオ国務長官やウィトコフ中東担当特使、ウクライナ側からイェルマーク大統領府長官らが出席。英独仏伊や欧州連合(EU)も安全保障担当者を派遣した。米国とウクライナは23日の協議後に出した共同声明で「大きな進展があった」と表明。「将来の合意ではウクライナの主権を完全に守らなければならないことを再確認した」とし、最終決定は両国の大統領が行うと強調した。ゼレンスキー氏が今週にも訪米するとの情報がある。

和平案は28項目で構成され、ウクライナに領土割譲や兵力削減、北大西洋条約機構(NATO)加盟断念を求めるなど、ロシアの要求を色濃く反映した内容とされる。日本や欧州、カナダの首脳は22日、南アフリカで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて協議し、同案に懸念を示す声明を連名で公表した。

ジュネーブでの協議に当たり、英独仏3カ国は修正案を提示。原案がウクライナの兵力上限を60万人と定め、NATO加盟断念を憲法に明記する内容を盛り込んだのに対し、修正案は上限を80万人とし、NATO加盟の可否は加盟国の総意に委ねるとしている。原案に含まれていたクリミア半島などをロシア領と事実上認める条項も削除し、現在の戦線を基準に領土協議を開始するとした。

トランプ氏は22日、米側が示した和平案は最終提案ではないと述べ、修正の可能性に含みを持たせた。ただ、23日にはSNSで「ウクライナ指導部は米国の努力に『感謝ゼロ』だ」と投稿し、原案の受け入れを拒むウクライナに不満を示した。欧州に対しても「ロシアの原油を買い続けている」と批判した。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領(左)とウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)

2025年11月24日 13時04分


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