ロシア軍、ウクライナ西部リビウを空爆=原発近くの都市制圧―停戦交渉「トルコで再開」



【イスタンブール時事】ロシア国防省は27日、ウクライナ軍が使用していた西部リビウ一帯の燃料施設や修理工場を高精度ミサイルで26日に攻撃したと発表した。ウクライナ側によるとこの攻撃で5人が負傷した。また、ロシア軍は26日、北部のチェルノブイリ原発近くの都市スラブチッチを制圧した。ロシアの軍事作戦はウクライナ側の根強い抵抗で縮小を余儀なくされたという見方が出る中、なお各地で攻撃を続ける姿勢が示された形だ。

ウクライナの停戦交渉担当者は27日、「ロシアとの協議がトルコで28日から30日まで行われる」と述べた。

リビウは隣国ポーランドとの国境から約60キロに位置。今月13日に近郊の軍事演習場がミサイル攻撃を受け少なくとも35人が死亡したが、これまで大規模な爆撃や戦闘を免れていた。戦火を逃れるため首都キエフなど他の都市から避難民が集まる拠点にもなってきた。

AFP通信によれば、リビウのサドビー市長は記者会見で、ロシア軍の攻撃で燃料貯蔵施設などに被害が出たと説明。「侵略者たちはきょうの攻撃で、ポーランドにいるバイデン(米)大統領にあいさつしたいのだろう」と述べ、バイデン氏の訪問に合わせてロシア軍が攻撃したとの見方を示した。

スラブチッチ制圧について国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は26日の声明で、ウクライナ側から通知があったと明らかにした。原発作業員の多くはスラブチッチから原発に通っているが、声明によると、1週間近くにわたり作業員の交代が行われていないという。

一方、ウクライナ国防省は、ロシアとの国境に近い北東部スムイ州の町トロスティアネッツをロシア軍から奪回したと発表した。

また、トルコ国防省によれば、イスタンブール沖合の黒海上で26日、ウクライナ沿岸部から漂流してきたとみられる旧式の機雷が見つかった。機雷は安全な場所に移した上で処理されたが、黒海の入り口に位置するボスポラス海峡では、安全確保のため艦船の通航を一時停止する措置が取られた。

機雷はもともと、ロシア海軍の上陸を防ぐためにウクライナ軍が仕掛けたものである可能性もある。トルコ国防省はロシア、ウクライナ両国と漂流について協議した。

【時事通信社】 〔写真説明〕26日、空爆後に黒煙と炎が上がるウクライナ西部リビウ(AFP時事)

2022年03月28日 00時40分


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