長崎は9日、80回目の原爆の日を迎えた。爆心地に近い長崎市の平和公園で営まれる市主催の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」には95カ国・地域のほか欧州連合(EU)の代表が参列し、台湾は初めて出席する予定。鈴木史朗市長は平和宣言で、世界各地で起きている武力衝突の即時停戦を訴え、核戦争突入への危機感を表明する。
見込みでは、過去最多の100を超える国・地域が参列するとみられていた。昨年は市が招かなかったロシアやベラルーシ、イスラエルは参列する見通し。
鈴木市長は平和宣言で、すべての国の指導者に対し、来年開催予定の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核兵器廃絶への具体的な道筋を示すことを要請する。
日本政府には、核兵器禁止条約の署名・批准を求めるほか、国が定める被爆地域の外にいた「被爆体験者」の救済を強く要請する。
昨年の日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞にも言及。長崎の被爆者で日本被団協の代表委員だった故・山口仙二さんの演説を引用し、核兵器の非人道性を訴える。
式典では、被爆者や遺族、石破茂首相らが原爆投下時刻の午前11時2分に黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈る。7月末までの1年間に死亡が判明した3167人の名前を記した原爆死没者名簿3冊が奉安され、死没者数は20万1942人となる。
【時事通信社】
〔写真説明〕80回目の原爆の日を前に、平和公園で手を合わせる人たち=8日午後、長崎市
2025年08月11日 12時32分