ディスレクシアの特徴知って=読み書き困難、啓発月間―「生き生き暮らせる社会に」・東京の団体



学習障害の一種で、文字の読み書きがすらすらとできない「ディスレクシア」。その特徴を正しく理解してもらうため、認定NPO法人「EDGE」(東京都港区)は10月を啓発月間として活動している。藤堂栄子会長(72)は「ディスレクシアの人が生き生きと暮らせる社会を実現したい」と力を込める。

ディスレクシアは知的発達に遅れはないものの、読み書きをスムーズに行うのが難しく、たどたどしい読み方になったり、文字を正確に書き写せなかったりする。行動や社会性に問題はないため「怠けている」などと誤解されることも多いという。

藤堂さんがNPOを立ち上げたきっかけは長男だった。小さい頃から読み書きに難しさを感じていたが、1999年に英国へ留学した際、現地で教師からディスレクシアの可能性を指摘された。「日本には僕より苦労している子がいるから何とかして」。その一声を受け、2001年10月にNPOを設立した。

藤堂さんらは啓発事業や政策提言に力を入れ、05年からは学習支援員の養成講座も始めた。講座の種類は増え、現在ではディスレクシア特有の症状に理解を深めてもらい、読み書きの困難さに関するアセスメント(評価)方法を身に付けてもらう。

近年はデジタル化の進展で音声教材の普及も進む。藤堂さんは定期試験や入試を筆記試験から口頭試問に変更するといった配慮を通じ、「一人ひとりが自分に合った方法を選べるようにすることが大事だ」と強調する。

保護者から相談を受けるのも活動の一つ。文字の読み書きに関し「もっとやらせなくちゃというプレッシャーがあった」「なぜこの子はできないのか」といった声が寄せられる。藤堂さんは「他の手段で補い、子どもの『好き』や『得意』を伸ばす環境をつくってあげて」と伝えるようにしている。

啓発月間は学習障害支援事業などを行う5団体と共同で企画し、講演会や無料相談会などが行われる。藤堂さんは「ディスレクシアでも、ほんのちょっとの工夫で学びが保障され、本人らしさが発揮できることを知ってほしい」と訴えている。

【時事通信社】 〔写真説明〕読み書きがすらすらとできないディスレクシアの啓発に取り組む認定NPO法人「EDGE」の藤堂栄子会長=9月30日、東京都港区

2025年10月21日 14時11分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース