台湾包囲演習、近く再開か=軍事面でも対日威嚇―中国



【北京時事】中国軍が年内に台湾包囲の大規模演習を再開するとの観測が浮上している。台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁を受け、中国は軍事面でも威嚇を強める構えだ。演習では台湾侵攻や海上封鎖をした場合に、米軍だけでなく直接的に自衛隊と交戦する事態を想定して訓練を重ねていく可能性がある。

中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区は20日、水陸両用の戦闘車両が相次ぎ砂浜に上陸する動画を公式SNSに投稿した。また、国営中央テレビ(電子版)は同戦区の「実戦訓練」を立て続けに紹介。台湾方向とみられる海上へのロケット弾連射や、艦砲射撃の様子を伝えた。いずれも実施日は不明だが、威嚇を狙った発信とみられる。

これに先立ち国防省の報道官は、日本が台湾問題で武力介入すれば「必ず頭を割られ血まみれになる」と威圧している。日本最西端の沖縄県・与那国島は台湾からわずか約110キロの距離にある。台湾の近隣には沖縄のほか、南に親米のフィリピンが位置する。「中国軍は挟み撃ちに遭う事態を絶対に避けたいはず」(日本の軍事専門家)で、それを阻止するための演習も予想される。

中国軍は4月、台湾周辺で2日間にわたって演習を展開した。初日は台湾北部、東部、南部の沖合で行い、2日目は西側に位置する台湾海峡で演習「海峡雷霆―2025A」を実施。年内に末尾を「B」とする演習に踏み切るとの予測がある。昨年は台湾包囲の演習「連合利剣―2024」のAとBがあったためだ。

中国では最近、東部戦区に関係する軍高官らが汚職問題で一斉に摘発を受け、さらに広範囲に捜査が進んでいるとされる。こうした中でも台湾作戦能力が衰えていないことを示すためにも、演習を行うとの指摘がある。

中国軍で3隻目の空母「福建」は今月5日に就役した。中央テレビは18日、福建がこのほど多くの艦艇を伴い初訓練を実施したと伝えた。中国が敵視する台湾の頼清徳政権や、日米へのけん制効果も狙い、今後活動を活発化させる見通しだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国海軍3隻目の空母「福建」=9月11日、沖縄県・尖閣諸島沖の東シナ海(防衛省提供)

2025年11月25日 08時25分


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