ハマスが敵対勢力「取り締まり」=ガザ統治の継続模索か



【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザの和平案「第1段階」でイスラエルと合意したイスラム組織ハマスが、治安回復を名目に敵対勢力の「取り締まり」に乗り出している。約2年間にわたる軍事衝突で揺らいだガザでの支配権を再び固め、国際社会が求める武装解除を回避し、統治を継続する道を模索している可能性もある。

イスラエルとハマスの合意は10日に発効。報道ではその後、ハマスの武装した要員が次第に街頭で存在感を増し、公然と活動を開始したと伝えられている。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、12日ごろからガザの中心都市ガザ市でハマスの部隊と地元の有力氏族との間で衝突が起きた。ハマスが氏族のメンバーをイスラエルの協力者だと断じ、拘束しようとしたことがきっかけとみられる。この衝突で約30人が死亡した。

また、ハマス系メディアは13日、公開処刑の映像を通信アプリ「テレグラム」に投稿。複数のハマス要員が男性8人を路上にひざまずかせ、後ろからライフル銃で射殺したが、「(イスラエルの)協力者と無法者への死刑を執行した」と正当化した。

各地の有力氏族の中には、ハマスがイスラエルとの戦闘に注力し「治安維持」が手薄になっている状況に乗じて支援物資の略奪を働いたり、ハマスに対抗するためイスラエルと関係を深めたりする動きが出たとされる。ハマスはこうした勢力への締め付けを強め、「替えのきかない統治者」としての立ち位置を固めようとしているもようだ。

和平案を主導するトランプ米大統領は16日、自身のSNSへの投稿で「ハマスがガザで人々を殺し続けるなら、彼ら(ハマス)を殺害するほかない」と警告した。

ガザ住民のマジド・サラムさん(21)は、通信アプリを通じた時事通信の取材に「ハマスは復讐(ふくしゅう)心から殺りくを行い、責任も問われない。全く間違っており、受け入れられない」と非難した。その上で、停戦後も「新たな暴力の連鎖に巻き込まれるのか」と怒りを抱えていた。

【時事通信社】 〔写真説明〕イスラム組織ハマスの戦闘員=15日、パレスチナ自治区ガザ北部ガザ市(ロイター時事)

2025年10月18日 07時15分


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