
【北京、台北時事】ロイター通信は4日、中国海軍と中国海警局の多数の艦船が東アジアの海域に展開していると報じた。中国が高市早苗首相の台湾有事に関する発言に強く反発して以降、一帯で中国側の大規模な活動が明らかになるのは初めて。
報道によると、黄海南部から東シナ海を経て南シナ海に至る海域や太平洋で、一時100隻以上が集結。4日午前時点でも90隻を超えているという。中国当局はこうした動きについて、公表していない。
中国は昨年12月にも、台湾周辺などに艦船90隻以上を展開させた。習近平政権は高市氏の発言以降、国民に日本への渡航を控えるよう呼び掛けるなど報復に乗り出している。今回の活動も、日本や台湾への威圧を狙った可能性がある。
木原稔官房長官は5日の記者会見で、「わが国周辺の軍事動向について引き続き重大な関心を持って注視するとともに、情報収集、警戒監視に万全を期す」と述べた。中国外務省の林剣副報道局長は同日の会見で、活動について確認は避けつつも「大げさに騒ぎ立てることではない」と主張した。
一方、台湾総統府報道官の5日の発表によれば、頼清徳総統は国防部(国防省)などに「(状況を)完全に把握し、直ちに報告する」よう指示。台湾の情報機関・国家安全局の蔡明彦局長は3日、台湾メディアの取材に対し11~12月は中国が軍事演習を行う時期だと指摘した上で、大規模演習の可能性は「排除できない」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕フィリピンの補給船(左)に放水銃を使用する中国海警局の船舶=2023年12月、南シナ海上(フィリピン沿岸警備隊提供)(AFP時事)
〔写真説明〕南シナ海のスカボロー礁付近を航行する中国海軍の艦船とその上を飛ぶカナダ海軍のヘリコプター=9月3日(AFP時事)
2025年12月05日 19時41分