「冤罪被害者の希望になれた」=再審無罪確定の前川さん―福井中3殺害事件



名古屋高検が上告断念を表明し、再審無罪が確定した前川彰司さん(60)は1日、福井市内で記者会見し、「満ち足りています。冤罪(えんざい)被害者の希望になれた」と表情を緩めた。警察や検察、裁判所の責任にも言及。「これで終わらせてはいけない」などと述べ、謝罪や事件の検証を繰り返し求めた。

「僕はこの事件、知らないんです。現場にいたわけでもないし、見たわけでもない。冤罪、無罪が確定して自分を証明できた」。前川さんはこう語り、無罪確定を静かにかみしめた。会見前、父礼三さんからは「よかったね。心が晴れた」と声を掛けられたという。

会見では、改めて、国などを相手に損害賠償を求める訴訟を起こす意向を示した。今後も冤罪被害者の救援活動に携わりたいといい、「この勢いを再審法改正につなげたい」と意気込んだ。

同席した吉村悟弁護団長は「もともと起訴すべき事件ではなく、感慨はない」としつつ、「一審で無罪判決が出てから35年。ようやくだ」と話し、前川さんと握手した。

弁護団は、刑事補償法に基づいて請求できる補償金について、1日当たりの上限額1万2500円を請求する方針。時期は未定とした。

【時事通信社】 〔写真説明〕再審無罪が確定し、記者会見する前川彰司さん=1日午後、福井市

2025年08月01日 20時31分


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