軍高官失脚、台湾担当司令官も=侵攻能力に影響か―中国



【北京時事】中国国防省は17日、軍高官9人の共産党籍を剥奪する極めて重い処分を発表した。この中には、台湾方面を担当する東部戦区の司令官だった林向陽氏が含まれた。台湾作戦を知り尽くしていたとされ、司令官失脚で侵攻能力に影響が出る可能性もある。台湾統一を目指す中国の習近平国家主席は、陣容の立て直しを急ぐ。

「台湾独立分子が向こう見ずなことをしたり、外部勢力が両岸(中台)関係の緊張をあおることに固執したりすれば、軍はあらゆる必要な措置を講じ、力強く阻止して懲罰を加える」。林氏は司令官の職にあった今年3月、北京での会合で発言し、台湾の頼清徳総統や日米をけん制していた。

林氏は、台湾対岸に位置する福建省の部隊に長く所属。今回処分を受けた9人のうち最上位の中央軍事委員会副主席だった何衛東氏の後輩に当たり、「早くから省内で何氏にかわいがられ出世を重ねた」(軍事専門家)。何氏も東部戦区司令官経験者で、何氏、林氏らは、同省での勤務が長い習主席が引き上げた「福建閥」とされる。

今回の処分は、中国軍にはびこる深刻な汚職が理由のようだが、「急速に台頭した福建閥が軍内の派閥争いで集中攻撃を受けている」(別の軍事専門家)との観測もある。汚職を見逃せない習主席が「台湾通」の側近たちをやむなく切り捨てた形だが、台湾作戦を指揮することが想定されていた何氏と林氏が抜けた穴は大きいとみられる。

台湾の頼総統は昨年10月10日、毎年恒例の式典で演説し、中国による統一に改めて反対を表明。これに反発した東部戦区が同14日、台湾を取り囲み大規模な軍事演習を展開して威嚇した。今月10日にも頼氏は演説を行い、台湾軍が中国軍の動向を監視しているが、18日時点で同様の演習は確認されていない。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国の習近平国家主席=14日、北京(AFP時事)

2025年10月18日 20時33分


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