
【北京時事】中国の習近平政権が、先進7カ国(G7)や欧州への接近を加速させている。各国がトランプ米政権への不信感を高めている現状は、中国にとって好機。昨年12月以降、G7のうち4カ国の首脳、外相らを中国に招き、米欧の分断を図っている。
「米国より予測可能だ」。1月中旬、北京で習国家主席と会談したカナダのカーニー首相は対中関係について記者団にこう語り、連携の必要性を訴えた。両国は中国製電気自動車(EV)やカナダ産菜種油に課してきた高関税の相互引き下げで合意した。
1月下旬にはスターマー英首相が訪中。中国側は、英国産ウイスキーの関税引き下げや、英国人の短期滞在時のビザ免除を表明。英国会議員6人への制裁も解除した。
昨年12月には、今年のG7議長国であるフランスのマクロン大統領、ドイツのワーデフール外相が訪中。1月にはアイルランドとフィンランドの首相が訪れ、メルツ独首相も2月の訪問を調整中だ。
マクロン氏はもともと対中融和的な姿勢が目立ち、仏中間の首脳の相互往来も活発だ。一方、カナダと英国の首相訪問はいずれも約8年ぶり。両国と中国の関係は近年、人権や安全保障、通商問題を巡り冷え込んでいた。
関係改善へかじを切った背景にあるのは、トランプ大統領の存在だ。デンマーク自治領グリーンランドの領有を掲げ、高関税で各国に譲歩を迫るトランプ政権の動向が、世界2位の経済力を持つ中国への接近を後押しした。習政権としても、今春のトランプ氏訪中を前に中国の立場を強め、対米交渉を優位に進めたい思惑がある。
中国の官製メディアは「『中国は信頼できるパートナーだ』とカナダや欧州が認識した」(環球時報)との宣伝を強めている。ただ、各国は米国との二者択一で「中国を選んだ」わけではなさそうだ。
スターマー氏は中国の後に日本を訪問し、高市早苗首相と安保連携の強化などについて協議した。来日は英側の要望で、対中傾斜の印象を強め過ぎないようバランスを取った格好だ。
G7財務相らは先月、レアアース(希土類)の供給を「武器化」する中国への依存低減を目指す方針で足並みをそろえた。欧州連合(EU)は、南米やインド、ベトナムとの関係強化や自由貿易協定(FTA)締結に動いている。
レアアースの寡占に加え、中国による年間1兆ドル(約155兆円)超の貿易黒字と過剰生産に対する国際社会の警戒感は根強い。欧州首脳らの「中国詣で」も、米中両にらみでリスク分散を図る動きの一環と言えそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=1月29日、北京(AFP時事)
2026年02月02日 13時03分