【アンカレジ(米アラスカ州)時事】トランプ米大統領は15日、ロシアのプーチン大統領と会談するため、米アラスカ州アンカレジに向けて出発した。ロシアが2022年2月にウクライナ侵攻を開始して以降、米ロ首脳の対面会談は初めてで、協議の結果は3年半近く続く紛争の行く末を左右する。
ロシア側発表によると、首脳会談は15日午前11時半(日本時間16日午前4時半)に開始。一対一の形式で協議した後、閣僚らを交えた拡大会合が行われるほか、両首脳が食事を共にする。ロシア側は共同記者会見が調整されているとしているが、トランプ氏は結果次第だとの認識を示した。タス通信によれば、成果文書への署名は予定されていない。
トランプ氏は15日、アラスカに向かう機内で記者団の取材に応じ、「私はウクライナを代表して交渉するわけではない。彼らを交渉の席に着けるためだ」と語り、ウクライナのゼレンスキー大統領を交えた3者会談の開催に意欲を見せた。また、プーチン氏については「賢い人物だ。われわれには互いへの尊敬がある」と強調し、「何らかの成果が出るだろう」と期待感を示した。
トランプ氏は14日には、次の会談が「非常に重要になる」と説明。会談場所として3カ所を検討しているとしつつ、アラスカにとどまり、ゼレンスキー氏を招いて開催する考えにも言及。米ロ首脳会談が「成功しない可能性も25%ある」とも述べ、会談の成果への過度な期待をけん制し、予防線を張った。
一方のロシア側は、首脳会談で幅広い議題を取り上げる見通しだ。プーチン氏は14日、会談に向けた準備会合を開き、米国との核軍縮協議に意欲を表明。米ロ間で唯一残る核軍縮枠組みの新戦略兵器削減条約(新START)が来年2月に期限切れを迎えることを念頭に問題提起するとみられる。
ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は14日、両首脳が経済・通商分野での協力の拡大について協議すると明らかにした。対ロ制裁強化をちらつかせて停戦を迫るトランプ氏に対し、制裁緩和を勝ち取る狙いもありそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕15日、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地で、大統領専用機に乗り込むトランプ米大統領(ロイター時事)
2025年08月15日 23時06分