【ソウル時事】韓国の李在明大統領は15日、ソウルで開かれた日本の植民地支配からの解放80年を記念する「光復節」の式典で演説した。日韓首脳が往来する「シャトル外交」を通じて「未来志向の共生、協力の道を探る」と表明。対等な立場で協力し、共に繁栄していく互恵関係を目指す意向を示した。
6月に就任した革新系の李氏にとって初の光復節演説。「日本政府が過去のつらい歴史を直視し両国間の信頼を損なわないよう努力することを期待する」とも述べた。ただ、元徴用工といった具体的懸案には言及しなかった。
「実用外交」を掲げる李氏は、尹錫悦前政権からの日韓協力の基調を維持する考えを改めて表明。今月23日の初訪日に向け友好ムードの醸成を図った形だ。一方で、歴史認識に関する日本の前向きな対応も促し、歴史問題を重視する支持層に一定の配慮を示した。
李氏は今年が日韓国交正常化から60年の節目に当たることに触れ、「過去を直視し、未来に向かう知恵を発揮するときだ」と指摘。「過酷な植民地支配に抵抗しながらもいつかは韓日両国が真の隣人になれると願った先人たちの思いを引き継いでいくべきだ」と語り、抗日運動家を引き合いに、根強い反日感情を乗り越えるよう世論に訴えた。
その上で「日本は前庭を共有する隣人で、経済の発展において重要なパートナーだ」と強調。人工知能(AI)時代の課題にも日韓が共に取り組むべきだとの考えを示した。
【時事通信社】
〔写真説明〕15日、ソウルで開かれた「光復節」の式典で演説する韓国の李在明大統領(EPA時事)
2025年08月15日 17時05分