
【マニラ時事】今年1月に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国に就いたフィリピンは、一部加盟国と中国が南シナ海で領有権を争っている問題で、紛争回避に向けた「行動規範」を年内に策定できるかどうか正念場を迎える。交渉が長引く中、中国側は「権益」の既成事実化を図っている。
「効果的で中身のある行動規範の交渉を年内にまとめられるよう努力する」。フィリピン中部セブで1月29日、ASEAN外相会議を終えた同国のラザロ外相は、記者会見でこう強調した。翌30日にはASEANと中国の実務者会合が開かれ、交渉を加速することでも合意した。
ASEANと中国は2002年、問題の平和的解決を目指す「南シナ海行動宣言」に署名。ただし法的拘束力はなく、ASEANは合意内容に強制性を持つ「行動規範」への格上げを求めていた。
双方は13年に行動規範を巡る初の公式協議にこぎ着けるものの、その後は拘束力の範囲や文言の定義で折り合えず交渉は停滞。中国はこの間、南シナ海で岩礁の埋め立てや軍事拠点化などを進めてきた。
ラザロ氏は、ASEANと中国が今後、対面協議を毎月行う方針を表明。「合意を確実に得られるよう、二重、三重に力を尽くしている」とアピールした。だが、ASEAN内でも幾つかの争点について立場の違いはある。南シナ海問題の当事国はフィリピンやベトナムなど一部に限られる上、ラオスやカンボジアは政治・経済両面で中国との関係が近い。
ASEANと中国は23年に3年以内の交渉妥結を目指す方針を確認しているが、加盟国からは「(拘束力を伴う)意味のある行動規範でなければならない」(タイのシーハサック外相)との声が出ている。全会一致が原則のASEANのまとめ役として、フィリピンの外交力が試される。
〔写真説明〕記者会見するフィリピンのラザロ外相=1月29日、中部セブ(AFP時事)
2026年02月04日 08時46分