【アンカレジ(米アラスカ州)時事】トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は15日、米アラスカ州アンカレジで会談し、ロシアが侵攻するウクライナでの停戦を巡り約3時間協議した。トランプ氏は会談後の共同記者発表で「一定の進展があった」と述べる一方で、重要な幾つかの点で合意に達しなかったと語った。停戦実現への具体的な道筋は示されなかった。
首脳会談は15日午前11時半(日本時間16日午前4時半)ごろ、当初予定していた一対一から3対3に形式を変更して開始。米側からルビオ国務長官、ウィトコフ中東担当特使、ロシア側はラブロフ外相、ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)が同席した。
トランプ氏は記者発表で「生産的な会談だった」と振り返り、「多くのことに合意した」と強調。「ディール(取引)が成立するまでディールはない」とも表現した。
これに対しプーチン氏は、会談の雰囲気を「建設的」と評価。その上で戦闘終結には侵攻の「根本原因」の除去が必要だと従来の主張を繰り返した。米ロ関係の正常化が「重要かつ必要だ」とも述べ、米国と対話を続けることに意欲を示した。
両首脳は「停戦」や会談の具体的内容には言及せず、記者団の質問も受け付けなかった。ただ、トランプ氏が対話を継続する考えを示すとプーチン氏が「次回はモスクワで」と提案し、トランプ氏が「それは興味深い」と応じる場面もあった。
一方、トランプ氏は会談後に収録した米テレビとのインタビューで、プーチン氏とロシアのウクライナ占領地の問題や同国への「安全の保証」について交渉したと明らかにした。停戦合意に近づいていると手応えを示しつつも、「ウクライナが同意する必要がある」と指摘した。
また今後、欧州側がロシア・ウクライナ首脳の会談を設定し、交渉を進めると説明。対ロ制裁の一環として「2次関税」を中国に科すかと聞かれ、現時点で発動を検討する必要はないと明言した。トランプ氏はウクライナのゼレンスキー大統領や欧州首脳らと電話会談し、会談結果を共有した。
米ロ両首脳は現地時間15日午前、会談場所となったアンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン米軍基地にそれぞれ大統領専用機で到着。対面会談はウクライナ侵攻後初めてで、トランプ氏とプーチン氏は笑顔で握手を交わした。プーチン氏は2015年に国連総会に出席して以来、約10年ぶりの訪米となった。
【時事通信社】
〔写真説明〕15日、米アラスカ州アンカレジで記者発表を行うロシアのプーチン大統領(左)とトランプ米大統領(AFP時事)
〔写真説明〕15日、米アラスカ州アンカレジで行われた記者発表で握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)とトランプ米大統領(ロイター時事)
2025年08月16日 17時15分